10. 兄・弟

 移ろう想い

その頃ドイツでは…樹理が真新しいパソコンに向かい、カタカタとキーボードを叩いた後最後に送信をクリックすると、
にっこりと笑って頷いた。それは初めて郁海に送るメール。
携帯も使った事の無かった樹理が、産まれて初めて使う郁海との時間差を埋めてくれる文明の利器だった。
そして樹理がそれを目にしたのは…一月ほど前の事。その日大輝は、大きな荷物を抱えて帰ってくるなり
「樹理、土産だ!」 そう言って抱えていた荷物を床に置いた。

「え、お土産って、その箱の事?」
「そうだ、樹理にもパソコンを買ってきてやったぞ。だって樹理は携帯を持っていないんだろう?
だから、これで郁とメールのやりとりをすれば、時間を気にせず好きなだけ話が出来る。どうだ、嬉しいだろう」
大輝は得意そうな顔で言いながら樹理の反応を窺うが…予想に反して樹理の顔に喜びの色は見られず、
反対に困ったような顔で大輝を見返すばかり。それには大輝も、落胆の色を隠せず、
「ん? なんだ、嬉しくないのか?」 言いながら、それならとばかりに箱を開きかかった。

外箱を開き、少しの緩みも無くきっちりと治まっている中身を引き出すと、更にパソコンを固定してある梱包材を外す。
すると側に立ってその様子を見ていた樹理が、小さな声で申し訳なさそうに言った。
「……叔父さん…僕はパソコンなんて使った事ないよ」
その言葉で、樹理の反応が嬉しそうに見えなかったのは、嫌なのではなく困惑だったのだと気付いた。
確かに、携帯すら持っていない樹理にとってパソコンなどという物は、どう扱って良いのか判らない代物で。
それを土産と言われても、嬉しいより戸惑いが先だつのも当然の事。
それが判った大輝は、荷物を解いていた手を止めその手を樹理の肩に載せた。

なんだ、そんな事を心配していたのか。大丈夫だ、簡単な使い方位は俺が教えてやる。
もし俺で役に立たなかったら、誰か教えてくれる人に頼めば良いし、スクールに通っても良い。
なぁ、樹理…これで郁に手紙を書いて送る事も出来るし、樹理の描いた画のコピーや写真も送れるんだぞ。
それも、郵便や小包と違ってあっという間に届く。それに絵だって描ける。どうだ、凄いだろう」
言いながら半分姿を現しているパソコンに目をやった。すると…大輝の言った、絵も描けるという言葉が興味をひいたのか、
樹理もまた、少しだけ不安そうな表情のままパソコンに目をやった。そして、大輝に向かって半信半疑の顔で聞いた。

「絵も…描けるの?」
「あぁ、そうだ。まぁ、俺には絵の描き方までは教えられんが、描きたかったらソフトでもペンタブでも買えば良い」
「そんな難しい事、僕に出来るかな…」
不安そうに言いながらも、既に困惑は興味と入れ替わってしまったようで、樹理の目には期待の色が浮かんでいた。
「大丈夫だ、樹理は賢いからな。必ず出来る…俺が保障する」
「うん、ありがとう叔父さん。僕やってみるね。郁ちゃんに沢山お手紙書いて、いろんな事話したいから頑張る」
樹理は笑顔で言い、その笑顔は雄弁に樹理の心を語っているように見えた。

郁海と電話で話す事も儘ならない樹理が、どれほど寂しい思いをしているのか…大輝は判っているつもりだった。
だが…樹理が電話をしない本当の理由を知る由も無い大輝は、この笑顔を郁海にも見せてやりたい…そう思った。
そして翌日には、プリンターとスキャナ、それにデスクが届き、それら周辺機器がパソコンに繋がれるのを、
樹理は目を輝かせて見つめていた。


樹理の毎日は、絵は勿論、パソコンの扱い方まで習い出した事で、以前に比べ益々忙しく?
その上、ニールという友人が出来たことで、一人で家に居る時間は格段に少なくなっていた。
植物園に通う時間は少なくなったが、ニールが休みの日などは、一緒に少し遠くまで足を延ばす。

そして…樹理が初めて郁海に宛てたメールは郁海を大いに驚かせた。携帯も使っていなかった樹理が…パソコンでメール。
そう思ったが、考えてみれば今は小学生でも携帯やパソコンを使いこなす時代なのだ。
電話と違い、メールなら自分の都合の良い時間に送信し開く事が出来る。
ドイツとの時差を気にし、なかなか電話で話す事も出来ない事を思えば、樹理がパソコンを扱うようになったことも、
メールをくれた事も、本当なら喜んで良いはずなのに。郁海はなぜか素直に喜ぶ事ができなかった。

それというのもメールの内容が…樹理の近況=いつも友達と一緒。それが喜べない要因だった。
本来なら彼女が出来た…と言われるより安心して良いはずなのだが、その友達(男)のせいで、
兄がどんどん変わってきているような気がして、郁海にはそれが不安でならなかった。
自分の知らない街で、自分の顔を知らない顔を誰かに見せている。
そしていつか…弟より、その知らない誰かの方が大切になるのでは。そんな複雑な思いで、返事は無愛想で嫌味なものになった。

「兄さんは…随分と毎日が楽しそうだね。友達と出かけるのも良いけど、気をつけないと酷い目に遭うよ。
みんな良い奴ばかりとは限らないんだからさ。変な奴に軟派されて、騙されているって事もあるからさ。
兄さんは人を疑う事を知らないから…正直心配だよ」

「ニールは悪い人じゃないよ。とっても優しい良い人だよ。だって…僕に普通に話してくれるんだよ。
それに、日本にも居たことがあるから日本語も上手なんだ。だから、僕はニールとお話しするのがとっても楽しいんだ。
郁ちゃんも一度ニールに会ってみると、きっと好きになると思うよ」

「好きになる…それじゃ、兄さんはそいつの事が好きだって言うの?」

「うん、大好き。でも、郁ちゃんのほうがもっと好きだよ。だって僕は、郁ちゃんのお兄ちゃんだからね」

樹理は、郁海のメールに潜む真意に気付くことも無く、いつものように返事を送信すると、いそいそと出かける準備を始める。
そして…届いたメールを見つめる郁海の表情は苦渋に満ちていた。
いつまで経っても何処までいっても、樹理にとって自分は弟以外の何ものでもない。そう思うと自分と兄との距離は、
ドイツと日本を隔てる距離よりもはるかに長く、無限とも思える隔たりがあるような気がしてやりきれなかった。



人はほんの些細な事で、好感を持ったり嫌いになったりする事もある。
それが優しい一言だったり笑顔だったりしても、心が不安定な時はそれに縋りたくなるのだろう。
そういう意味でも南谷は、今の郁海に兄のいない隙間を埋めてくれる存在…になろうとしていた。
そして、兄から逃げるように南谷に傾いていく郁海の心に、郁海自身より早く気付いたのは友人の森下だった。

「おい! 聞いてんのか」
「あ? あぁ…生物か物理にする」
「違ぇよ! そんなの理科三なら当然だろうが。俺が言っているのは南谷の事だよ」
森下の口から出た南谷の名前で、身体中の毛穴から汗が滲み出るのを感じながら、郁海は素知らぬ顔で答えた。
「南谷? 南谷がどうかしたのか?」
「お前さ…南谷に気があんの?」
一番触れて欲しくない部分を直撃されたような不快感と、暴かれたくないものを曝された疚しさ。
それらが汗と共に皮膚を覆い、陽の光にも増してチリチリと焼く。その痛みを悟られない郁海はそ知らぬ顔で聞き返した。

「なんで?」
「いや…何となくそんな気がしたから」
「お前好きなのか? 南谷のこと」
冗談めいた口調で話を逸らそうとしたが、森下は一番聞きたくない言葉を口にした。
「なんでそうなるんだよ! 俺は樹理ちゃん一筋だから、お前みたく余所見なんかしねぇよ」
「それって、酷い良い方だよな。けど、お前…冗談抜きで本気なの?」
「当たり前だ。お前と一緒にすんな」
「そうだよな。お前は俺なんかと違って兄貴の事も…護ってくれるんだろうな」
完敗、惨敗…何となくそんな気がし…情けなくも敗北の言葉が口をついて出た。

「何だよ、諦めるのか? まぁ、人が人を好きになるのに理由なんか無いからな。
お前が南谷を好きだって言うなら、それはそれでかまわないけどよ。けど…俺は後悔だけはしたくない。
だから、お前以外の奴がライバルだったら、どんな相手だろうと引くつもりはねぇ…欲しい者は絶対手に入れる」
「兄貴の気持ちはお構い無し…ってか」
この期に及んで、見苦しい皮肉を口にする自分が哀れに思えた。だが森下は、それすら蹴散らしねじ伏せるように言う。
「その兄貴の気持ちも変えてやるよ。お前はそれを歯ぎしりしながら見ていれば良い」

森下は不遜とも思えるような口調で言い。本当は殴りつけたいと思いながら、それすら出来ないでいる自分。
同じ高校生なのになぜここまで違うのか…郁海にはそれが不思議でならなかった。
そして、その差が悔しくて追いつき並ぼうとしていたはずなのに、完膚なきまでに叩きのめされた…そんな気がして、
「ははは…やっぱお前強いや。俺もお前みたいに強くなれたら…もう少しマシな人間になれるんだろうな。
俺は弱くて意気地なしで、いつもふらふらと揺れている。情けないと思っても、どうにも出来ない自分が嫌になるよ」
笑う以外術を持たない郁海に、森下は少しだけ表情を和らげ…それでも如何にも呆れた…そんな顔で言った。

「アホかお前…自分が自分の思うとおりになったら、そりゃ別の意味で怖ぇよ。そんなの人間じゃねぇ…化け物だろう。
俺らみてぇなガキは、いつだって迷って、立ち止まって、また迷って。そうやって少しずつ前に進むんだよ。
それによ…走ってばかりいたら、息切れしてぽっくり…なんて事になっちまう。そんなのつまんねぇだろう? 
年寄りに比べガキの一年が長く感じるってのは、そういう事だ。なんて…俺って、結構哲学的じゃねぇ?」
そう言うと森下は、なぜか大きくため息を吐き。それから「人の心は空に似てるよな」 と言った。

森下はいつだって正しい。正確には正しいかどうかは判らないが、少なくとも自分より確かな処にいる。
それなのに自分は…低きに流れる水のように流され…兄のいる場所には戻れなくなる。
決して南谷が低いところだと言うわけではないが、少なくとも今の郁海にとって兄よりは手の届く位置にあった。
そして、世間で言うところのまともな道。郁海はそう思う事で、逃げている自分から目を背けた。
想いは風に流され陽の光を遮り、やがて涙の雨となる。それでも其処が安らげる場所のように思い…尚も思う。
俺の道って…俺の位置って…何処なのろう…と。



「郁ちゃん、ニールの国はねとっても小さいんだって。日本も小さいのにね。
でもそれよりもっと小さくて…それなのに高い山が多いから、益々狭くなっているんだって。
だから日本に行った時、日本は広い国だなって思ったんだって…なんか可笑しいよね」

「郁ちゃん、この前ニールとホーエンツォレンっていうお城に行って来たんだよ。
山の上に立っているお城でね、凄く遠くまで見渡せるんだ。
ニールは、そのお城から南の方をじっと見つめていたけど…きっと自分の国を見ていたんだと思う。
そんなニールを見ていたら、僕も日本の事を思い出して…ちょっと悲しくなった」

「郁ちゃん、この前お城に行った時の写真が出来たので送るね。
凄いでしょう…僕、こんな事も出来るようになったんだよ」

「郁ちゃん…僕は…毎日とても楽しいよ。郁ちゃんに会えなくても、ちっとも寂しくないからね。
だから…郁ちゃん…心配しないで…僕、頑張るから…」

「郁ちゃん…お手紙届いているんでしょ。酷いよ…どうして返事くれないの? お返事ください…」

「昨日はごめんね…郁ちゃんは大学へ行く為のお勉強で忙しいんだよね。
それなのに僕は…お兄ちゃんなのに我が侭を言って…。ごめんね、反省しているよ。
だから…郁ちゃんは気にしないで、お勉強頑張ってね」

何通も溜まった兄からのメール。其処には兄の毎日が綴られ…自分には見ることの出来ない兄の顔があった。
金髪に青い瞳の、優しそうな青年と並んで写真に納まっている少しだけ大人になった兄。
そして、その青年を心から信頼しているような兄の表情と、兄を大切な者のように見つめる青い瞳。
この人は…兄さんを好きなんだ。そして兄さんも…そう思うと、届いたメールに返事は返される事も無くなり。
やがてメールは、開封されることも無いままフォルダの中で溜まり続けていった。



「どうだった? 特に問題はなかった?」
面談が終わると同時に進路指導室を出た郁海を待っていたかのように南谷が声をかけてきた。二人は並んで昇降口へと向かう。
以前は、昼休み時間や学校からの帰り道、郁海の隣には森下がいた。だが今は…いつも南谷が側にいる。
それが嬉しいとか、楽しいとか、そんなふうに思った事はなかったが…恋人なのに…なぜ? そんな微かな疑問はあった。
だが郁海は、それは心の平穏と安息の証…そう思う事で自分を納得させ南谷に笑顔を向ける。

「うん、どうにか合格圏内に辿り着けたかなって感じ、明日香は?」
「私も、絶対って程じゃないけど…でも何とか大丈夫そうかな」
「そうか、それじゃ…今日帰り家に寄ってく?」
郁海が言うと、南谷はそれがどういう意味か理解したのだろう…うっすら頬を染めて小さく頷き。
それから、何かを窺うように声を潜めて聞いた。

「お母様は?」
「今日は午後から出て、朝まで当直だって」
「そう…それじゃ、今夜は一人?」
「うん、だから…一度家に帰って明日の支度をしてから来れば? そうすれば、今夜はずっと一緒に居られる」
「泊まるって事?」
「嫌?」
「うぅん、嫌じゃないけど…」
「だったらそうしようよ。俺、夕飯作るから一緒に食べよう」
「判った…それじゃ行く前に電話するね」

行き交う生徒の耳を憚り、声を顰めて約束を交わすだけで、身体の中に欲望が芽吹き始める。
三月程前、郁海は自分の部屋に来ていた南谷に 「抱いて良いか…」 と聞いた。
その時南谷は少し驚いたような顔をしたが、今と同じように黙ったまま頷き…二人は恋人同士になった。
それからは、南谷が家に来る度に抱き合うようになり…それでも泊まる事は無かった。
だから…南谷が容易に頷いた事に幾許かの後ろめたさとホッとする思いで、視線だけ隣に向けると、
少し俯き加減でほんのりと頬を染めた南谷の横顔が見えた。


すらりと伸びた脚の間にある茂みの下は、既に指が滑るほどに濡れていた。
「厭らしいな…明日香の此処…もうびっしょりだ」
郁海が態と揶揄するように言うと、南谷は顔を真っ赤にして膝を固く閉じようとした。
「どうして閉じるの? もっと見せてよ」
言いながらその膝を両手でこれ以上ないまで押し広げると、露わになった小さなピンクの突起に舌を這わせると、
「あっ…あぁ…」 甘い声が南谷の口から洩れ腰が跳ねた。

ほんの数時間前までは健全な女子高生といった感じだった南谷が、まるで別人のように淫らに喘ぐ。
男を知った女はこれほど変わるものかと、内心驚きながらも…女の子を女にしたのは自分…そう思うと嬉しくもあり。
やはり後ろめたさもあって…複雑な思いがあった。
それなのに…舌に絡まる愛液のぬめりは、心の片隅にある僅かな罪悪感まで絡めとり…郁海をただの牡に変える。
ピンク色をした突起を舌と歯で責めながら愛液の滴る泉に指を差し込むと、何度も郁海を受け入れた其処は、
熟れた果実のようにすんなりと指を飲み込み、くちゅくちゅと音をたて指を濡らす。

熱く柔らかい肉襞の更に奥、硬く弾力のある行き止まりの手前の壁を腹に受けて指で突き上げてやると、
蜜は更に溢れ出し外陰唇がふっくらと盛りあがり…南谷は、それだけで背を仰け反らせ絶頂を迎えてしまう。
そして、制服姿からは想像もつかない淫らに開花した女の身体は、牡を受け入れ…声をあげ腰をくねらせる。
だから…郁海は熱い肉襞に己を沈めて、其処が安住の場所だと錯覚する。南谷のあえぐ声を聞き、愛の証しだと耳を塞ぐ。
息を止め…上り詰めた頂から垣間見るのは自分の未来か…それとも終焉なのか。
それでも、この温もりに逃れたい自分が哀れに思えた。

何故南谷を抱こうと思ったのかと自分に問うと、郁海には明確な答えを見出す事が出来なかった。
確かに南谷は可愛いと思ったし、性格も良いから好きなのだろう…とも思う
だが、南谷を抱いている時…ふと頭を過ぎるのは…兄の胸はこんなに柔らかく膨らんでいない。
兄の身体は…こんなに確かさを伝えては来ない。それでも兄は…俺の腕の中で溶けてしまいそうな儚さで…俺を融かす。
そして、兄の後にある場所…其処に侵入したら…そう思うだけでいきそうになった。
だから…自分は兄の代わりに南谷を抱いているのかも知れない…南谷を抱いた後は、いつもそんな思いに苛まれ。
南谷の屈託の無い笑顔や言葉に、後ろめたさを覆い隠した。それでも…選んでしまったのは自分。
そしてこれから先も…自分は作りものの笑顔を南谷に向けていくだろう…と、思った。

「私たち、大学に行ったら、いつも一緒には居られなくなるのかな」
「そうだな、でも会おうと思えば何時だって会えるんじゃない。それとも明日香は、卒業したら俺とは別れちゃうつもり?」
「あ〜ひどい…そんな事言うんだ。私は、ずっと郁海君と一緒にいたい…そう思っているのに」
媚を含んだ声と表情は、自分だけに向けられる女の顔。
そんな南谷を見つめながら…この顔は自分への罰…郁海にはそんなふうにも思えた。

「ごめん、俺だって明日香と同じ事を思っているよ。そうなんだ…好きな人とは離れちゃいけないんだよな。
どんなに好きでも…離れていたら、相手の気持ちが見えなくなる。そのうち自分の気持ちも見失って、
迷い道に入り込んで、抜け出せなくなる。だから…側にいないと。側にいていつも確かめていないと…」
「郁海君…なんか変。どうしたの? なにかあったの?」

「何でもないよ。ただ一般論を言っただけ。だから、俺達は別々の大学に進んでも、出来るだけ時間を作って会うようにしよう」
「うん…郁海君…大好き」
「俺も…だいすき…だよ」





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