社会的地位のある親は、子供に見合わない小遣いをくれ…何も教えてくれない代わり、我が儘を聞いてくれた。 何も不満など無かった。だがその分、全てが不満だったのかも知れない。 そして、忍が初めて親の敷いたレールから外れた時…忍に課せられた罰は。全てを失い…たった一人で生きる事。 そんな忍の隣りに、同じ罰を与えられた神谷将吾が居た。 最後は見苦しくなく…そう覚悟した神谷に、黒崎凜は言った。 「お前に猫を一匹預ける。お前の償いは、その猫を一人前にすること。良いね」 と。 ヤクザの世界しか知らない神谷にとって、堅気の世界で生きるという事は、陸に上がった河童と同ようなものだった それでも生きるために…ヤクザを廃業させられた男と何も出来ない大学生…二人の生活が始まる。 |